雇用保険育児休業給付金の延長に係る審査の厳格化について

1.雇用保険育児休業給付金の延長に係る審査の見直しについて

給付金令和6年3月25日に、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第47号)」が公布され、育児休業給付金について、子が1歳に達した後も休業を延長し、その支給を受けるための要件が厳格化されることとなりました。

育児休業給付金については、原則として子が1歳に達する日までの休業について支給することとされていますが、子が1歳に達した日後の期間について保育所等の利用申込みを行っているがその実施がされない場合には、1歳6か月又は2歳に達する日まで支給されます。

この取扱いに関して、保育所に入所する意思がないにもかかわらず、育児休業給付の延長目的で自治体に入所を申し込む人への対応や、意に反する保育所等への入所が内定となった方への苦情対応に時間を要しており、自治体の負担となっていることから、公共職業安定所において、申請者が速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育の利用を希望していることを確認することを明確にするために改正が行われました。

2.改正の概要

 雇用保険施行規則第101条の25第1号に規定する「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」について、「速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認める場合に限る」ものとされました。

3.育児休業給付金の支給対象期間延長要件

期間延長①あらかじめ市区町村に対して保育利用の申し込みを行っていること

入所申込年月日が子の1歳に達する日又は1歳6か月に達する日までの日付になっていることが必要です。

②速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めること((1)~(3)のすべてを満たす必要があります)

(1)原則として子が1歳に達する日又は1歳6か月に達する日の翌日以前の日を入所希望日として申し込みをしていること
(2)申し込んだ保育所等が、合理的な理由なく自宅から通所に片道30分以上要する施設のみとなっていないこと

 合理的な理由と認められるのは、原則として次のいずれかに該当する場合です。

〇申し込んだ保育所等が本人または配偶者の通勤経路の途中にある場合(本人または配偶者の勤務先から片道の通所時間が30分未満の場合を含みます)
〇自宅から30分未満で通うことができる保育所等がない場合
〇自宅から30分未満で通うことができる保育所等の全てについて、その開所時間又は開所日では職場復帰後の勤務時間又は勤務日に対応できない場合
〇子が疾病や障害により特別に配慮が必要であり、30分未満で通うことができる保育所等は全て申し込み不可となっている場合(医師の診断書、障碍者手帳の写し等が必要です)
〇その他、きょうだいが在籍している保育所等と同じ保育所等の利用を希望する場合、30分未満で通うことができる保育所等がいずれも過去3年以内に児童への虐待等について都道府県又は市区町村から行政指導等を受けていた場合

(3)市区町村に対する保育利用の申し込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示をしていないこと

入所申込書において、「保育所等への入所を希望していない」、「速やかに職場復帰する意思がない」、「選考結果にかかわらず育児休業の延長を希望する」などの明白な意思表示は要件を満たしませんが、「希望する保育所等に入所できない場合は、育児休業の延長も許容できる」などの表現は入所保留となることを希望する旨の意思表示には当たりません。

③子が1歳に達する日又は1歳6か月に達する日の翌日時点で保育所等の利用ができる見込みがないこと

子が1歳に達する日又は1歳6か月に達する日の翌日時点で保育が実施されないことを確認するため、発行年月日が子が1歳に達する日又は1歳6か月に達する日の翌日の2か月前(4月入所申込みの場合は3か月前)の日以後の日付となっている市区町村の通知書の添付が必要です。

4.まとめ

育児休業給付金の期間延長手続きの見直しにより、要件が追加されたため、確認書類として、市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書等)に加えて、

①育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
②市区町村に保育所等の利用申込みを行ったときの申込書の写し

が必要となります。

改正後の規定については、施行期日が令和7年4月1日となっているため、施行日以後に育児休業に係る子が1歳又は1歳6か月に達する場合に適用されることになります。

 

“育児休業給付金の支給対象期間延長手続き”.厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00040.html

“2025年4月から保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります”.厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/001269748.pdf

“育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書”

https://www.mhlw.go.jp/content/001269655.pdf